フレイバーテキスト選 ジャッジメント

 こんにちは。スマイルです。今回紹介するのはオデッセイ・ブロックの第三セット、ジャッジメントです。
 前セットのトーメントとは逆に黒のカードが少なく、その分、白と緑のカードが多くなり、ブロック全体でバランスが取られています。

 タイムリーな話になりますが、初代『イニストラード』の開発時にも、色のバランスを崩して黒のカードを増やすことが検討されたそうです。ゾンビや吸血鬼などの怪物が蔓延る世界を構築する上で、ついつい黒が増えてしまうというのは無理からぬ話。しかし、最終的にはリミテッドのバランスを考慮して、5色が均等に扱われることになりました。
 同様の理由で、今後はトーメントやジャッジメントのように不均衡なセットが作られる可能性は低いそうです。ちょっと残念?まあ古いセットならではの、独特な仕様ということで。

 では、今月発売予定の『イニストラード:真夜中の狩り』のカードを…じゃなくて、ジャッジメントのフレイバーテキストを見て行きましょう。

願いサイクル

黄金の願い
狡猾な願い
死せる願い
燃え立つ願い
生ける願い

<黄金の願い>
彼女は高貴な位を願ったが、その位を尊ぶ国を願い損ねた。

<狡猾な願い>
彼は知識を願ったが、それを使いこなす意思を願い損ねた。

<死せる願い>
彼は権力を願ったが、それを濫用するための長寿を願い損ねた。

<燃え立つ願い>
彼女は武器を願ったが、それを使いこなす技術を願い損ねた。

<生ける願い>
彼は成長を願ったが、それを調節する術を願い損ねた。

 ジャッジメントを代表するカード、願いサイクルは、ゲーム外部(概ねサイドボード)からカードをサーチするという、当時としては革新的なメカニズム。白ならアーティファクトかエンチャント、青ならインスタントというように、それぞれの色が得意とするカード・タイプを扱っています。

 フレイバーテキストは「○○を願ったが、××を願い損ねた」という形で統一されており、いずれも望みは叶うものの、肝心なものは手に入らないというオチが付いています。
 スーパーでお弁当を買ったけど、箸をもらい損ねたような感じでしょうか。コンビニと違って頼まないと付けてくれないんですね。

歴戦のエイヴン

経験は良き師であって、優しい師ではない。

 歴史家のトーマス・カーライル曰く「経験は最良の教師である。ただし授業料が高すぎる」。また、投資家のウォーレン・バフェットは「人は経験から学ぼうとするが、他人の経験から学べるならそれに越したことはない」という言葉を残しています。
 確かに、身をもって経験する挫折や失敗からは多くの教訓が得られるでしょう。しかし、それには痛みが伴います。痛みなしに教訓だけを得る方法があるなら、それを選ぶべきです。

ラヴニカの元ギルドパクトにして精神魔道士のジェイス・ベレレンもこう言っています。

「お前の失敗から学ぶのも悪くはないが、他の誰かの失敗から学んだ方がよっぽどいい。」
――― ジェイス・ベレレン

物静かな思索

“The best foresight is hindsight."
—Empress Llawan

あと知恵こそ最高の予言よ。
――― 女帝ラワン

 後ろの(hind)洞察力(insight)と書いて後知恵(hindsight)。後で明らかになったことを、まるで事前に予測できたかのように言うことを指します。

 マジックで例えるなら、そうですね…モダンホライゾン2の発売前はウルザの物語を「2ターン後に勝手にサクられる土地」と酷評していたにもかかわらず、今では「ウルザズ・サーガなんて名前のカードはぶっ壊れに決まってる」と主張する知人のことでしょうか(断じて僕自身のことではありません)。

陰謀団の見習い

ほう、顔面刻みがおでましか。これは珍しい。あいつに勝つのはまず無理だろうが、ま、がんばってみたまえ。
――― 陰謀団の訓練官

 1マナ1/1にちょっとしたおまけが付いた、お世辞にも強いとは言えないクリーチャー。「顔面刻み」なんていう物騒な名前の怪物と戦わされたら、こんな表情にもなるわな…。

せめて能力を使って、上手く切り抜けてくれ(自身を生贄にして相手を-2/-0修正)。

腐朽
屍肉ネズミ
ネズミの饗宴

腐朽
屍肉ネズミ
ネズミの饗宴

<腐朽>
まったく、もう!これでまともな暮らしができると思うかい?
――― 陰謀団の墓泥棒

<屍肉ネズミ>
競争はもう、うんざりだ。
――― 陰謀団の墓盗人

<ネズミの饗宴>
もうこんなの ――― やってられるか!
――― 陰謀団の墓盗人

 いずれも墓地のカードを追放する能力を持ったカードで、墓を荒らされて実入りの減った盗掘人が嘆く様子が描かれています。

 ちなみに腐朽はオデッセイ、屍肉ネズミはトーメント、ネズミの饗宴はジャッジメントに収録されたカードで、オデッセイ・ブロックを通して一つの物語が語られていることになります。…じゃあなぜ「墓泥棒」か「墓盗人」のどちらかで統一しなかった!?

陽光尾の鷹

私達の祖先もかつてはこんなふうに空を飛んでいたんだ ――― のんきに、暖かな巣と満ちた胃袋以外には何も求めずに。知性とは恵みというより重荷なのかもな。
――― 司令官イーシャ

 テキスト中のイーシャは鳥人種族エイヴンの女性。オタリア大陸の一大勢力である騎士団の司令官ともなれば、常日頃から気苦労も絶えないのでしょう。
 イーシャでなくとも朝、学校や職場へ向かう道すがら、空を飛ぶ鳥を見て「鳥はいいなぁ」なんて考えている現代人は存外多いのではないでしょうか。

極楽鳥

 鳥はいいなぁ。仕事も勉強もしなくて済むし、マナが出せるし、飛行も持ってるし。あ、でも見たらすぐ焼かれるか。

 ジャッジメントのフレイバーテキスト紹介は以上になります。楽しんでもらえたのであれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。

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