自作PCのパーツ選定基準《グラフィックボード【NVIDIA】編》
こちらのページはPCパーツを選定する時の基準《グラフィックボード編》をまとめた記事だ。きっかけとなる記事はこちら《自作PCのパーツ選定基準について考える事》になるため、もしまだ見ていなければよろしければ見てほしい。
グラフィックボード
筆者的には普段から俗称で「グラボ」と呼んでいるのでタイトルには「グラフィックボード編」とさせてもらっているが、人によっては「ビデオ カード/ボード」だったり「グラフィックス カード/ボード」と呼んだりする。全て同じ意味なので、その点に留意して読み進めてほしい。
グラフィックボードのコアとなる部分をGPUと呼ぶ。CPUの記事でこの単語が出ていたがGPUとは「Graphics Processing Unit」の略だ。
CPUはPCを動作させるための様々な処理を行っているのに対して、GPUは画像処理に特化したコアだ。
グラフィックボードに搭載しているこのGPUを作っている会社が「NVIDIA」と「AMD」だ。
NVIDIA
この会社のGPUは「GeForce」というブランド名で出ており、現行モデルだとGeForce RTX 30シリーズが発売されている。
CPUの命名規則と同様にGPUの命名規則からある程度の性能が伺え、同世代内であれば数字が大きい方が性能が高い。
例えば現行のグラフィックボードで「GeForce RTX 3090」とあるが、「GeForce RTX」がGPUのシリーズ名、 「30」の部分が世代を表し、「90」が製品内のランクを表す。製品によっては末尾に「Ti」が付き、これのある方が性能が高い。
このルールを元に、今世代のグラフィックボードを性能順に並べると以下の通りになる。
RTX 3090 > RTX 3080 > RTX 3070 > RTX 3060 Ti > RTX 3060
さて、このNVIDIAのGPUを搭載したグラフィックボードの最大の特徴は、ゲーム(3D)性能が非常に高い事だ。ゲーミングPCと言われているPCには必ずと言っていいほど搭載されている。
という事で、先に結論だけ述べるとゲーム向けPCを自作したい場合はNVIDIAが出す「GeForce」シリーズ以外に選択肢は無い。コレを買っとけというヤツだ。
なので予算との相談になるが、やりたいゲームの動作要件以上でGeForceシリーズの最新グラフィックボードを購入すれば間違いない。兎にも角にもGeForce!という状況だ。
余談になるが、ゲーム向けのGeForce以外に「Quadro」というGPUがある。これは3Dグラフィクスのモデリングや3D CAD等の制作に特化したGPUである。クリエイター向けというと聞こえはいいが、価格が非常に高く上位機種だと100万を超えるようなものまである、所謂その道の人向けのグラフィックボードだ。
レイトレーシング(ray tracing)
余談にするには内容が増え過ぎたので別項目としてまとめた。
レイトレーシングという言葉自体は実は割と昔から存在し、基礎研究がされていた分野になる。ただ、最近になって有名になった言葉であり、そのきっかけとなったのがNVIDIAのRTXシリーズの登場だ。
レイトレーシングって何?という事だが、分かりやすくまとめると光の描画がより現実的にシミュレーションする手法のことだ。
レイトレーシングをするとどうなるか、という点については実際に見てもらった方が早いと思うので、ぜひNVIDIAのこちらのページを参照してほしい。
GPUは画像処理特化のコアだと説明したが、RTXシリーズはそれ以外にレイトレーシング処理専用のRTコアというものを別に搭載している。
機械側で処理する事をハードウェアアクセラレーションと言うが、リアルタイムでレイトレーシングをハードウェアアクセラレーションに対応させた初めてのグラフィックボードがRTXシリーズだったが為に、レイトレーシングが脚光を浴び一躍有名となったのだ。
レイトレーシングの処理はコアに掛かる負荷が非常に大きく、過去のシリーズのコアでは到底処理が難しいものであった。それを、専用コアを用意することにより、掛かる負荷を分散することによってより処理負荷の軽減を目指したのがRTXシリーズとなる。
正直現在でもレイトレーシングの処理はかなりの負荷になるため、画質を優先するか処理速度を優先するかの二者択一状態ではあるが、技術の進歩が伺える。これからのレイトレーシング技術に注目していきたい。
グラフィックボードの選び方NVIDIA編
GPUはグラフィックボードのコアとなる部分で、ここの設計をNVIDIAが行っている。ただし、グラフィックボード全体の設計・製造は、マザーボード編等でも出てきた「ASUS」や「GIGABYTE」「MSI」等が行って販売している。
各メーカーのグラフィックボードの違いだが、使っているコアは全て同一になるためグラフィックボードに対する冷却性能や静穏性、またコアにオーバークロックという通常時よりも負荷はかかるがより性能を上げるチューンがされている。
その為、金額の足並みを揃えるとどこのメーカーも似たり寄ったりの性能になるため、製品レビューを見て高評価な物を選んでいくと良いだろう。
RTX 3060は記事投稿時点では発売されていないため比較のしようが無い為、今回はRTX 3060を除いた現行の「GeForce RTX30シリーズ」を各ランクごとにご紹介していこう。
→RTX 3060が発売されたので追記した。
GeForce RTX 3060
初値が5万円後半から6万円台半ばで各社ラインナップが出た。性能はどうなのかというと、前世代のRTX 2060sと同等かそれより下くらいの性能である。追記時点(2021/3/1)での性能なのでドライバーの最適化が進めば変わるかもしれないが、現状このレベルであればよほどの理由がなければ買う理由がない。正直性能に対して価格が高すぎる。適正価格はこのレベルだと3万円台だと思う。
なんとか予算を振り絞って↓のRTX 3060Tiを買った方が満足度は高そうだ。
GeForce RTX 3060 Ti
価格と性能のコスパ良しのGPUで、今世代のGPUの中ではランク自体はミドルクラスになるが、前世代のRTX 20シリーズのハイエンドクラスである「RTX 2080 SUPER」と同等クラスの性能だ。現在の最新のゲームをフルHDで遊ぶ分には必要十分なGPUである。ただ、いつまで必要十分に遊べるかは今後のゲーム次第である。価格は記事投稿現在は7~8万くらいまで値上がりしてしまった。値上がり前は6万くらいであった。
GeForce RTX 3070
先ほどのRTX 2080 SUPERを超えるRTX 20シリーズのハイエンドである「RTX 2080 Ti」よりほんの少し劣るが、ほぼほぼ同性能クラスを誇るミドルハイクラスのGPUだ。このクラスを使いたい人は、解像度が4Kを使用する人が必要になってくるGPUで、フルHDで使う分にはオーバースペックとなってくる。長い目で見れば、壊れない限りは長く使っていけるグラフィックボードとなるだろう。価格は記事投稿現在7.5万~10万くらいとなっている。
記事冒頭でも出している《自作PCのパーツ選定基準について考える事》で紹介しているサイバーパンク2077の動作要件で、レイトレーシングを用いない場合にウルトラ(最高)設定で遊ぶ場合の推奨グラフィックボードがコレだ。
GeForce RTX 3080
RTX 20シリーズの最高峰の性能を誇る「RTX 2080 Ti」を超える「RTX Titan」よりも約1.1倍ほど性能が高い。当時32万円したRTX Titanが、その半額程度の値段で買えるRTX 3080はコスパ自体は良いように見えるが、結局は高額なので手が出せる人は羨ましい。最新のゲームを4K最高設定で動かしたい場合、このクラスのグラフィックボードは必要になってくる。価格は最安だと12万くらい~で、高いものだと20万を超えてしまう。
このクラスがサイバーパンク2077でウルトラ(最高)設定で、尚且つレイトレーシングをオンにして遊ぶ場合に推奨されているグラフィックボードになる。
GeForce RTX 3090
このクラスのGPUにはもはや勝てるものは存在しない、文字通り最強のGPUである。その代わり価格も最強で、ショップよってばらつきはあるが25万ぐらいから、高いものだと30万近くになる。もし最新のゲームを4K最高設定で、さらにレイトレーシング有りで遊びたい場合はこのクラスを用意する必要がある。
グラフィックボードメーカーの傾向
ASUS・MSI・GIGABYTE辺りは無難な作りや性能を極めた作りをしているので、この3社を選んで間違いはない。価格に応じて選んでもらえれば良い、が全体的に価格は高め。
ドスパラというPCショップの専売になってしまうが、Palitというメーカーは作りがしっかりしている割には価格が安めなので、価格重視であればオススメ。また、ZOTACや玄人志向というメーカーも価格を抑えた商品をラインナップしているので、こちらもオススメ。別に性能も低いという訳ではないので、比較的安めなのは企業努力か?
NVIDIA編まとめ
- ゲームなら正直GeForce1択
- 名前の数字が大きい方が性能が高い
- レイトレーシングはキレイに描画されるが負荷がヤバイ
- RTX30シリーズは性能高いけど価格も高い
最後に注意してほしいのが、全世界でかなりの需要増に伴いグラフィックボード全体の価格が上がっていることだ。記事投稿時点で、ASUSやMSIはグラフィックボードの販売価格の値上げをしている。なので待てば下がるとは思わない方が良い。
欲しい時が買い時なのだ。
今回はグラフィックボード【NVIDIA】編と銘打ってご紹介してきたが、次回は引き続きグラフィックボード【AMD】編をお届けしよう。