フレイバーテキスト選 アポカリプス

 こんにちは。スマイルです。今回するのはインベイジョン・ブロックの最終セット、そしてウェザーライト・サーガの最終章である、アポカリプスです。遂にファイレクシアの王、ヨーグモスが動き出し、物語もクライマックスへ。
 また、多色をテーマにしたインベイジョン・ブロックの中で、インベイジョン、プレーンシフトが友好色に焦点を当てているのに対し、アポカリプスは、当時としては珍しい、対抗色中心のセットとなっています。その顔ぶれも、予言の稲妻や魂売りといった粒ぞろい。

予言の稲妻
魂売り

 まあ、この連載でカードパワー云々の話をしても仕方ないんですけどね。ではフレイバーテキストを見て行きましょうか。

神秘の蛇

シューシューいうあいつの声があんたの耳に届く前に、あんたの肉にあいつの牙が突き刺さっているよ。

 戦場に出た時に呪文一つを打ち消す、4マナ2/2瞬速のクリーチャー。カウンターしながらクロックを追加する動きは環境を問わず強力で、当時のスタンダードで一時代を築いた他、後にラヴニカの献身でリメイクされたエリマキ神秘家もフラッシュ系のデッキで活躍しました。

 なお、この蛇、フレイバーテキストには獲物に気付かれることなく襲い掛かると書かれていますが、MTG Wikiではイラストと矛盾しているとツッコまれています。
 うん。確かに振り返ってるよね、左の人。MTG Wikiにはたまに、ゲームとは関係ないけど面白いコメントが書かれていることがあるんですよね。

 では、僕からも小ネタを一つ。猫が相手を威嚇する時に出す「シャーッ」という声は蛇のまね。他の動物にとっても危険な存在である蛇をまねることで、身を守っていると考えられています(諸説あり)。

え?そんなフレイバーテキストと関係ない豆知識はどうでもいい?
…失礼、蛇足だったようです。

索引

ちょっと待って…メルカディアだろ、マーセナリーだろ、マーフォークだろ…うーん、もっといいファイリング・システムが要るなあ。

 思案しながらページをめくっているのは、無限の書物を所有し、その全てを読破したとされる、ガフ提督。膨大な知識と予知能力を持ったプレインズウォーカーです。

さて、彼が読み上げている単語は、

メルカディア(Mercadia)…次元名
マーセナリー(mercenary)…クリーチャー・タイプ。日本語では「傭兵」
マーフォーク(merfolk)…クリーチャー・タイプ

 といったように、アルファベット順になっています。賢明な読者の皆様におかれましては、「商人(merchant)」が抜けていることに気付かれたことでしょう。そう、ポータル・セカンドエイジで登場し、後のローウィン発売に伴うオラクル更新で廃止されたクリーチャー・タイプです。…つまり、商人の絶滅はアポカリプス時点で予見されていたんだよ!

な、なんだってー!

カヴーのやっかいもの
凶暴なゴリラ

カヴーのやっかいもの
凶暴なゴリラ

<カヴーのやっかいもの>
カヴーにとっては、ファイレクシア人など歯ごたえのあるおやつでしかない。

<凶暴なゴリラ>
この雑食性のゴリラたちは、果物とファイレクシア人が半々という食生活に何の懸念も抱いていない。

 ファイレクシアの侵攻に対して立ち上がったのは人間だけではありません。ドミナリア中の生き物、ひいては自然そのものが抵抗を見せます。しかし、それにしても「歯ごたえのあるおやつ」とは。
 ファイレクシア人は生命と機械の融合体ですから、きっと歯ごたえ十分です。よく噛んで食べましょう。また、ファイレクシア人は油分が多いことでも知られていますから、ビタミンや食物繊維が豊富な果物を摂取し、脂肪の燃焼を促すのも理に適っていますね(一体何の解説をしてるんだろう)。

地勢

勝利の女神は、正しい者にほほえむのでも邪な者にほほえむのでもない。備えのできていた者にほほえむんだ。

 基本土地をサーチする1マナのソーサリー。序盤はしっかりマナ基盤を整えて、後のターンに備えよ、ということなのでしょう。あの孫子も、地形を把握して味方に付けることの重要性を説いていますからね。

夫れ地形は、兵の助けなり。敵を料りて勝ちを制し、険阨・遠近を計るは、上将の道なり。
――― 「孫子」

一方、我らがジェラードは…

地元の利

<地元の利>
わたしなら不慣れな土地で戦う方を選ぶね。そうすれば、負けても場所のせいにできるだろう。
――― ウェザーライトの艦長代行、ジェラード

 うーん。まあ、孟子も「地の利は人の和に如かず」と言うくらいですし、ジェラードもきっと人徳で周囲を引っ張っていくタイプなのでしょう。ほら、彼、カリスマとかありますし。

名誉回復

わたしを悼むようなことはしないでくれ。これがわたしの運命なのだから。
――― ジェラード

 アポカリプスの最終局面。レガシーの兵器として真の姿を現したウェザーライトを、ジェラードが起動。その身を犠牲にヨーグモスを倒したシーンです。多くは語りません。

殉教者の墳墓

戦いし勇者を讃え、 散りゆきし英霊を讃え、 彼らが救いし世界を讃える。
――― 記念碑に刻まれた言葉

 ウルザやジェラードをはじめとする多くの人々の活躍により、ファイレクシアは滅びます。払った犠牲は大きく、めでたしめでたしとはいきませんでしたが、ドミナリアにひと時の平和が訪れることになります。

 アポカリプスのフレイバーテキスト紹介は以上になります。ウェザーライト・サーガ編に関しては、(極力ネタバレしないように)多少ストーリーにも踏み込みましたが、正直、解説と言うには粗さや物足りなさが目立ったと思います。もしそちらの方に興味を持たれましたら、やはり本格的な解説記事や動画をご覧ください…と他者に丸投げしておきます。では、お読みいただきありがとうございました。

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